【コミックレビュー】アルテ
積みマンガもいい加減にたまっていたので、片っ端からやっつけていこう。そんなこんなで、先日ジャケ買いしたアルテ1-3から紹介してみたいと思います。「ジャケ買いした」と言うだけに前知識0。雰囲気からエマっぽい内容だったらラッキー程度に購入したのですが、自分の直感を信じて大正解。中世の画家見習いのお話でした。
ざっくりとしたあらすじ
16世紀フィレンツェを舞台とした画家を夢見る貴族のお嬢様「アルテ」が、父親の死をうけ、自分のもっとも好きな絵画で独り立ちしようと工房の門戸を叩くが、当時のヨーロッパは男尊女卑の世界。女性だという理由で弟子にすら雇ってもらえません。自暴自棄になっているところ偶然通りかかった親方「レオ」が面倒を見ることになって…という内容です。
見所
- アルテの(人間として画家としての)成長物語
- 中世ヨーロッパにおける「画家」というお仕事
- 男尊女卑の世界における「女性」の生き方
感想
この作品の特徴として、何をするにしても「女だから無理」という男尊女卑の世界観が繰り返されるのですが、それがこの世界のルールであり、ヒロインのアルテの生きている世界です。
そのような中、アルテは、ガッツで男社会に立ち向かっていくのですが、その表現が”表面的な男らしさ”ではなく、あくまでも女性ということを根底に置きつつ、ひとりの画家として認められたい。そんな願いからくる行動になっているため、表現に無理がなく、感情移入のしやすいキャラクターとして描かれています。
また、この作品では「絵画」を通して、仕事をするとはどういったことか?ということにも触れられています。これは現代のクリエイティブをお仕事にしている人にとっても耳の痛いセリフなのですが…一部セリフを引用します。
例え安くとも絵の仕事ができるだけ幸せ
なんて思っていてはダメよ。
それでは自分はその程度の価値のものしか作れない そう言っているようなもの…
そんなものにお金を支払わせるのは失礼よ
高い対価に見合った満足を与えられるのだという自信を持ちなさい
そして そういう仕事をしなさい
はい。
コレ、かなり重要なことで、費用を安くしたいメーカーがべらぼうに安い金額でイラスト依頼をしてきたりしますよね。チャンスだからといって無理をしている方が相当数いると思われますが、このことで本当に困るのはイラストで生計を立てているプロです。単価は下がる一方ですし、無理な依頼もまかり通ってしまいます。仮にプロになれたとしても、職そのものに価値がなくなってしまっては、結局食べてはいけませんよね?
脱線してしまいました。
何はともあれ、このアルテという作品、中世を舞台としながらも現代のクリエイティブな方々へ向けたメッセージとしても読み取れる作品となっており、今後も期待できる作品だと思います。